第三項 【クリエィティブの世界】
■ 『業界・グラフィックデザイナー』
● 印刷業界とグラフッイックデザインのデジタル化
【DTPとは?MacintoshとAdobe】
オフセットの四色印刷機は、印刷業界に高速カラー印刷という革命をもたらしました。そして20世紀の終わりに、印刷業界ではデジタル化という、四色印刷機の発明に匹敵する大きな革命が起こりました
それはリンゴのマークでおなじみのMacintosh社のパーソナルコンピューターの出現とAdobe社によるソフト開発によって確立されました。四色印刷機は工場レベルでの技術革新でしたが、Macintoshはデザイナーやライター、カメラマンという印刷関連クリエーターの個人レベルの仕事の現場での革新でありかつデジタル情報というパイプで印刷工場に直結させたことによる印刷業界全体の革新でした。
この個人レベルから印刷工場までの、一連のデジタル作業環境をDTP(Desk Top Publishing)と呼びます。この環境をさらに簡単に説明しますと、従来のデザイナーが作る版下は「印刷して欲しい色」や「印刷して欲しい写真」を指定するだけのもので、作業の途中においてもあるいは仕上がった版下も、印刷物とはほど遠い単なる印刷の元(印刷原稿)でした。しかしDTPにおける版下作りは、印刷の仕上がりに限りなく近い最終イメージを、画面上やプリンターで出力して確認しながら作業が出来、かつ比較的簡単に修正ができるメリットがあります。また、そのデータは印刷会社の精密印刷機が印刷するための、充分なデータ精度を満たしているので印刷会社の工程も非常にシンプルかつスピーディーになりました。
DTPのメリットはこれ以外にもたくさんありますので、代表的なメリットを一覧にしてまとめと置きましょう。
- 写植を打つ必用がないので、パソコン上の文字データを簡単にレイアウトに流せる
- 簡単に色を変えたり、文字を変えたり、写真の差し替えを行える
- 印刷仕上がりに限りなく近い状態(カラー)で、作業が進められる。
- パソコンと周辺機材だけで、印刷会社レベルのかなり高度な事ができる。
- スポンサーや印刷会社とのコンセンサスがとりやすい。更正や修正が簡単なので相手の意図を短時間で反映できる。
- 印刷以外の他の用途、例えば看板や衣服、テレビの素材、建築、備品、グッズの製作に置いても同じデータが流用できる。
- アナログ、手作業に比べて材料費が少ない。
- 保存方法さえしっかりすれば、ほぼ永久的にデータの保存が可能で、スペースもいらない。
- クライアント、印刷会社、コピーライター、カメラマン、デザイナー相互の印刷素材のやりとりが非常にスムーズである。場合によってはメールでのやりとりも可能。
このようにデジタル革命は、グラフィックデザイナーの仕事の作業方法を一気に塗り替えました。作業方法だけでなく、デザイナーのオフイィスからはドラフターという作業机や、版下作りのためのトレーシングスコープという大きな備品はもちろんのこと、自在定規、ペーパーセメントなどの小物まで姿を消していきました。
こういったもろもろの印刷業界とデザイナーの環境の変化はまさしく革命と言えます。印刷以外の業界でもデジタル革命は進みましたが、印刷業界ほど短期間かつ裾野広くデジタル化が進んだ業界は他にはありません。この変化に会社として取り組んだ印刷会社は別として、個人で取り組んだグラフィックデザイナーの努力には頭が下がります。



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